フィラリアの疑いがある犬

フィラリアとは寄生虫の一種で、日本では犬に寄生する(犬糸状虫)でよく知られています。
乳白色で細長い糸状の姿をしており、オスとメスがいます。
成虫のメスは幼虫を産んで増殖していくため、成虫になる前に駆虫するのが望ましいでしょう。
また、犬だけではなく猫や人にも寄生するケースもあり、いずれも蚊がフィラリアを媒介します。

日本では16種類の蚊がフィラリアを媒介することが確認されており、全国に幅広く生息しています。
人体に寄生するのは「バンクロフト糸状虫」や「マレー糸状虫」とされていますが、衛生環境が向上した現在ではバンクロフト糸状虫やマレー糸状虫は根絶しました。
そのため国内での人体へのフィラリア感染は、犬に寄生する犬糸状虫が稀に報告されています。

犬の感染率が高いのは、犬がフィラリアが寄生しやすい生態を持っているからです。
猫も感染することがありますが、猫の体内は幼虫が育ちにくいので、蚊にフィラリアを媒介されてもほとんど発症しません。
ただし、感染確率が0というわけではないので注意は必要です。

これまでに述べているようにフィラリアの感染ルートは蚊です。
フィラリア感染した犬の血液中にはフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が住んでいます。
そのため、フィラリアに感染している犬の血液を蚊が吸血することで、蚊の体内にミクロフィラリアが入り込みます。
その蚊が他の犬を吸血すると、蚊の刺口から犬の体内にミクロフィラリアが入り込み感染する仕組みです。

体内に入ったミクロフィラリアは約6~7カ月で成長し、肺動脈や心臓に寄生します。
寄生するまで体調に大きな変化はありませんが、寄生したフィラリアは増殖し続けるので、いずれ肺や心臓を埋め尽くし、呼吸困難や心不全を引き起こすでしょう。
成虫を駆逐することもできますが、犬の体調や増殖数にもよるので予防が重要です。
発症した場合、犬よりも猫の方が治療が困難になります。

現在は予防率が上がっているので昔ほど感染率は高くありませんが、依然として予防をしていない飼い主さんも少なくはなく、犬の死亡原因としては高くなっています。
フィラリアは日本のどこにいても感染する可能性があるので、必ず予防で発症を防ぎましょう
予防とは言いますが、正式にはすでに体内に入った幼虫を駆除する方法で発症を防ぐのが一般的です。
予防期間は5月~12月とされていますが、地域によって異なるため、動物病院を受診しましょう。

フィラリアを放っておくとどうなる!?

フィラリアは、蚊によって幼虫(ミクロフィラリア)が体内に入り込んでも、すぐに症状が出るわけではありません。
幼虫が成虫になり、心臓などに住みついて何年もかけて病気を進行させていきます。
そのため感染初期は無症状なので、放置しやすく、気づいた頃には手遅れというケースが少なくはないのが怖いところなのです。

フィラリアが進行することでよく見られる初期症状が「乾いたような咳」です。
その他に「散歩や運動を嫌がる・元気がない」こともありますが、ほとんど症状は見られません。
定期的な血液検査などを受けていない限りはこの段階で気づく飼い主さんは少ないのが現状です。
軽度の場合は、予防薬の長期投与で新たな幼虫に対する駆除のみで、成虫に対しては勝手に死んでいくのを待ちます。

中期症状では「慢性的な咳」、「食欲不振」、「体重減少」、「毛艶が悪くなる」、「運動や散歩を嫌がる」ようになります。
この段階ならば多くの飼い主さんが異変に気づくことができるでしょう。
成虫を駆虫する治療になりますが、犬の状態によっては予防薬の長期投与や対処療法を行います。

末期症状では、「呼吸困難」、「吐血・嘔吐」、「腹水がたまる」、「血尿が出る」、「臓器の機能不全」など大きな影響が出てきます。
症状は段階を踏んで悪くなるケースばかりではありませんが、初期症状が続いた後、急に重度の症状を発症して数日で死に至るケースもあるので注意が必要です。

蚊に刺されることを防ぐことはできないので、体内に入った幼虫を駆除することが予防に繋がります。
そのため毎年のフィラリアの予防薬の投与が勧められていますが、予防薬は市販よりも動物病院で処方してもらうのがよいでしょう。
フィラリア予防薬によっては投与できない犬種もありますし、犬の体重によっても投与量が変わってきます。
また、すでに感染している場合は予防薬の投与により重篤な症状に陥ってしまうこともあります。

ちなみに猫の発症数は非常に少ないですが、そのため診断が難しく、発症すると僅かな数のフィラリアでも重篤なケースに陥ります。
最近では猫への予防を推進する医師もいますが、予防薬によるリスクもあるので、獣医師に相談して検討するのがいいでしょう。

いずれにしても、飼っているペットの様子がいつもと違うかもと少しでも感じたら、放置せずに動物病院に連れて行くことが大切です。
また、年齢に関わらず年1回は血液検査を受けることで感染を未然に防ぐことができるでしょう。

おすすめ記事

  • ペットが異常行動を起こす!その原因は?

    ペットによってはしっぽを繰り返し噛むなどの自傷行為をしたり、同じ場所を往復し続けたり、なにかを延々となめるなどの行為が見られることがあります。 こういった異常行動が見られた場合は「常同障害」を発症しているかもしれません。 常同障害は人間でいうところの強迫神経症です。 強迫神経症は「強迫観念」と「強迫行為」からなり、同じ思考を繰り返してしまうこと(強迫観念)を回避するために、同じ...続きを読む

  • ペットの抜け毛の原因と対策

    犬や猫の飼育で困るのが抜け毛です。 洋服は毛だらけ、歩けば床の毛が舞う、ご飯の中に毛が混入するなど悩みも大きいでしょう。 抜け毛の対策をとりたいところですが、ペットの毛が抜ける原因は「生理現象」と「生活環境」によるものがあります。 生理現象が影響する抜け毛は季節による生え変わりです。 この時期を換毛期といいますが、人間でいうところの衣替えと同じです。 犬も猫も換毛期は春と秋の2...続きを読む

  • ペットレンタルというサービスが存在する!

    家族が動物アレルギー、留守にしがち、ペット不可の物件に住んでるなど、ペットを飼いたいけれど飼える環境にない方にペットレンタルがあります。 ペットレンタルは、お気に入りのペットをレンタルして一緒に過ごすことができるサービスです。 近年では動物カフェが人気ですが、ペットレンタルは「本気で飼いたい人」に注目されています。 その場で楽しむ動物カフェとは違い、自宅に連れて帰ったり外に連れ...続きを読む